振袖に込められた想い
こんにちは。着付講師の竹内千尋です。
ご訪問ありがとうございます。
新しい年を迎えたと思っていたら、あっという間にもう2月も半分が過ぎました。
先日、早々と成人式の着物の展示会の話を耳にしました。
1月に今年の成人式が終わったばかりですが、もう来年の試着会などが開催されていて年々準備が早くなっている気がします。
成人式は、大人として社会的に認知されるセレモニーです。
成人を祝う習慣は奈良時代からあり、成人を示す通過儀礼としての成人式は、「冠婚葬祭」の「冠」にあたります。
現在の法律では、
「大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日とされています。
成人を迎える方は、自分がここまで成長できたのは、
ご先祖さまや神様、
家族や友人など、
たくさんの応援があったからだということを思い出し、
その方々に感謝する日となればと思います。
成人式の着ものは、ミスの第一礼装である「振袖」を着ます。
厳密には袖の長さは3種類あり、
長い順から
「大振袖」または「本振袖」
「中振袖」
「小振袖」と呼びます。
現代の成人式では
「本振袖」か「中振袖」のどちらかを着ることが多いです。
ここ最近では、お母さまや、おばあさまの振袖を着られる方も少なくありません。
いわゆる「ママ振」と呼ばれているもので、お母さまたちは私と同じ世代💦
私の印象ですが、「ママ振」のものは、着もののさわり心地がしっとりして手に吸い付く感じがします。
着付けていても気持ちが良いです。
私たちの頃は「ママ振」ではなく、仕立てるかレンタルが多かったように記憶しています。
デザインも割りとシンプルなものが流行っていて、私もご多分に漏れず赤地に黒の裾模様。絞りで黄色の花がデザインされていました。
伝統的な晴れ着としての振袖には、成長する娘への健康や幸せを願うおめでたい文様が描かれています。
そのおめでたい文様のことを「吉祥文様」きっしょうもんようと呼び、動物・草花・扇や熨斗など多くの種類があります。
今回はおめでたい時に着る着ものに描かれている
「吉祥文様」の意味や込められた願いについて、私の振袖を参考に少しご紹介したいと思います。
シンプルですが、絞り染めで「椿」と「蝶」が表現されています。
「椿」は一年中葉が青い木のことから常磐木トキワギと呼び、古来、縁起の良いものとされていました。
「椿」は散るときに花ごとポトリと落ちることから、首が落ちると連想されタブーとされることが多いですが、反対に「魔除けの力を持った植物」とされ神事に欠かせない木とされていました。
梅が中国から渡来するまでは、最高の吉祥木とされていて、現代でも油や化粧品、そして平安時代には不老長寿の薬としても大切にされていました。
そして、「蝶」
ひらひらと飛ぶ様が可憐にみえますが、意外にも「立身出世」の意味があります。
人生の高みを上っていく姿に見え、これから人生を切り開いていく女性たちにも、自由に空をのぼる蝶にあやかってほしいという願いが込められています。
それ以外にも
「健やかな成長を願う」
芋虫からさなぎ、そして鮮やかな蝶へと成長していきます。
このように我が子も華やかに変容してほしいとの願いも込められています。
素敵ですね✨
シンプルだと思っていた私の振袖の中にも、「吉祥文様」に込められた我が子の成長と幸せを祈る両親の想いを感じることが出来ました。
着ものは日本の民族衣装です。
安いものではありませんし、何代にもわたって着続けられます。
だからこそ、どんな着ものにも描かれている文様には色んな願いが込められていると思います。
アラフィフになった今、そのことがとても感慨深く感謝の気持ちでいっぱいになります。
皆様も振袖に込められた両親の想いを巡らせてみてはいかがでしようか。
追記:今年のお正月は帰省せず「おうちお正月」で、久しぶりに着ものを着てみました。
鶴の吉祥文様の帯に、流水柄のアレンジの着ものです。
今年はこの着ものにあるように、私自身も腐らず流れ続ける1年にしたいと思います。